トルマリンの買取・質入れについて

10月の誕生石
8周年結婚記念石

• ・1500年代、スペインの征服者はブラジルで緑色の石『エメラルド』を発見し、それが『ブラジリアン　エメラルド』と呼ばれヨーロッパに輸入されました。
• ・ロシアのロマノフ王室には『いちごの彫刻』というものがありました。これは『世界最大のルビー』だと家宝として大切にされてきました。
• ・1300年代に制作され、代々チェコ王室の戴冠式に使われていた王冠の中央には100キャラット近い『ルビー』が使用されています。

実は上記の宝石全てがトルマリンだったと後に判明したのです。
様々な色が存在するこの鉱物は1800年代に科学者により『トルマリン』と定義されるまで色々な他の宝石と混同されていました。

• 鉱物学としてのトルマリン
• トルマリンへの処理
• トルマリンの産地
• トルマリンのお取扱いについて
• 質入・買取の際のトルマリンの査定基準
• トルマリンの種類による価格の違い

鉱物学としてのトルマリン

トルマリンへの処理

加熱、照射が行われることがありますが鑑別機関でもこの処理の有無は判別できませんので加熱処理はされているものと思ってください。このように処理が当たり前のトルマリンですが、バイカラー・トルマリンやウォーターメロン・トルマリンは処理されていないことが殆どです。
また、稀にフラクチャー等のキズを目立たたなくするために無色透明材の含侵処理が行われていることがありますが、こちらの処理はルーペや顕微鏡でも処理の有無が判別できます。

トルマリンの産地

ブラジル、マダガスカル、モザンビーク、ナイジェリア、スリランカ、タンザニア、アメリカ等が主な産地です。

トルマリンのお取扱いについて

モース硬度は7～7.5とトパーズ等より低く少々キズが付きやすいため他のジュエリーとは一緒に保管しないようにして下さい。
また、熱を持つとホコリを引き寄せる性質を持っていますのでジュエリーケースの中などに保管してください。
照射処理されたトルマリンは紫外線や日光によって色褪せる場合がありますのでご注意ください。
汚れた場合、超音波洗浄機にかけるとフラクチャ（ヒビ）が生じる可能性がありますのでぬるま湯と中性洗剤で洗ってください。

質入・買取の際のトルマリンの査定基準

トルマリンには色々な種類がありますが買取や質入で高額になるのはパライバ・トルマリン、インディゴライト、ルベライトになります。

パライバ・トルマリン

1987年にブラジルのパライバ州で美しいネオンカラーのパライバ・トルマリンが発見されました。
1989年、アメリカツーソンで行われる世界最大のミネラルショーで出品されるやいなや世界中から来たバイヤーの噂になり、ミネラルショーの最終日には初日の20倍以上の金額になりました。このことは宝石業界では大ニュースで日本にも多くの美しいパライバトルマリンが入ってきました。しかし残念ながら僅か1年ほどでほとんど産出されなくなります。
その後は近くのリオグランデ・ド・ノルデ州やナイジェリア、モザンビークからも産出されるようになります。

パライバ州の産出ではなくてもパライバ・トルマリン？と思うかもしれません。以前はパライバ州から産出されたもののみがパライバ・トルマリンというべきだという意見も業界内で多くありました。しかし現在は国際的な主要鑑別機関によって構成される組織『LMHC』で『銅を含有する青から緑色のトルマリン』のことをパライバ・トルマリンと定義しておりますのでこれに当てはまる石でしたらすべてがパライバ・トルマリンとなります。ですのでパライバ・トルマリンだからといって全てが美しく、そして高額になるわけではありません。
パライバ・トルマリンでもっとも重要なのは色です。
彩度（色の鮮やかさ）が高く、明るさがないところでも独特のネオンカラーによって輝いて見えるものがのが高額となります。色味は僅かに白味がかった青『ウィンデックスブルー』が最も人気があり高額となります。
このような色のパライバ・トルマリンはブラジル産に多くみられるものですが、鑑別書の産地鑑別に『ブラジル産』と付きますとさらに高額になります。
また、大きめの薄い青緑でネオンカラーが見られないパライバ・トルマリンを良く見かけますがこれはアフリカ産に多いもので上記のブラジル産の高品質のものと比べると10分の1の金額にもなりません。
キズはもちろん無い方が良いのですがキズが少ないアフリカ産と異なりブラジル産はあって当たり前です。ですのでインクルージョン（内部のキズ）によって宝石内部から湧き出てくる光を遮らないのでしたら問題ありません。逆にブラジル産でキズが無いパライバ・トルマリンですと驚くような高額になります。

インディゴライト・トルマリン

深い青色のインディゴライト・トルマリンはトルマリンの中ではパライバ・トルマリンについで希少・高価な宝石です。
見る角度によって色が変わる『多色性』が強く結晶軸に沿って見ると明度が低く暗く見えるため職人は程良い色に見えるようにカットします。
色の鮮やかである彩度は高い方が良いのですが色が濃くなると明度が低くなりがちなためある程度の彩度と明度のバランスが取れているものが高額となります。
色味は緑色が混ざっているものが多いのですが緑味が少なく青色が強いほどが高額となります。

ルベライト

以前はルビーと勘違いされていたルベライトもインディゴライトに次いで人気があります。
産地によって色味の特色がありブラジル産は雑味のない美しい赤、アフリカ産は黄色・褐色味が混ざっているものが多く産出されます。
人気なのはやはり雑味の無い赤で稀にピジョンブラッドのルビーのような美しいものは高額となります。

グリーン・トルマリン

彩度が高い鮮やかな緑で明度も高めなものが高額になります。
茶色味がかったものは減額となりますが青みがかったものは好みの問題となり減額とはなりません。
また、同じ緑色のトルマリンでクロム・トルマリンがあります。
グリーン・トルマリンの発色要因が鉄なのに対しクロム・トルマリンはバナジウムやクロムによって緑色に発色します。深い緑色が特徴のクロム・トルマリンなのですがその反面明度が低くなりがちです。クロム・トルマリンは深い緑色ながらも暗すぎず輝きもあるものが高額となります。また、クロム・トルマリンの中にはカラーチェンジ・トルマリンといい、アレキサンドライトのように白色灯下で赤色に変色するものもあります。このようなカラーチェンジ・トルマリンは希少なことから一般的なクロム・トルマリンよりも高額になります。
キズはグリーン、クロム・トルマリンともに少ないのが一般的ですのでキズが多いものはかなりの減額となります。

トルマリンの種類による価格の違い

トルマリンは宝石の中でも一番種類が多く上記のパライバ、ルベライト、グリーン、クロム・トルマリン以外にも沢山の種類があります。
ただ、他のトルマリンは査定金額をつけられることは殆どありません。
しかしながらバイカラー・トルマリン、ウォーターメロン・トルマリン、ピンク・トルマリン、カナリーイエロートルマリンはある程度の金額になります。
買取や質入の際の金額の目安としてはバイカラーやピンク・トルマリンを１とすると大まかな比率でクロム・トルマリン１０、ルベライト１５、インディゴライト３０、パライバ２００という感じになるかと思います。

宝石・ジュエリーの質入・買取について

買取・質入の主な取扱い宝石